■ 京都見る歩く(東山編)Vol.22 白砂と歴史の名庭に癒しを感じる

■ 京都見る歩く(東山編)Vol.22 白砂と歴史の名庭に癒しを感じる「東福寺霊雲院」


京都で数々の庭園を観る度に、その思想や時代の流行、愛された「趣(おもむき)」と言うものにただ感動してしまう。
近代京都には自然をそのまま再現したかのように水、岩、苔を配したものが発展した。しかしそれ以前は「枯山水」を想わせる白砂を水に見立てたものが仏教や禅とともにもたらされたと思われる。
私個人は水を用いた庭に魅せられる事が多いが、時にぐうの音も出ないほど心を停められ、黙らされ、無と深い安らぎの間に放り込まれたようになる「禅庭」の名庭に出逢うことがある。
けっして広さでは無く、白砂、岩、苔、その配置に深遠かつ無音の圧倒感と云うか宇宙そのものを感じているのだと思う。
それがこの日行った京都東山東福寺にある「霊雲院」だ。
「九山八海(きゅうざんはっかい)」と云う仏の世界を表すこの庭はおよそ600年ほど前(1390年)に開かれたそうな。
中央の「遺愛石」から白砂の波紋が、苔むす山脈の奇岩に打ち寄る様は、音の無い大海のごとく。「遺愛石」は熊本出身の第7世、湘雪和尚が親交のあった藩主細川忠利から贈られたものだと云う。
縁側に立ちふと廊下の壁に目をやると一枚の古い写真がある。

明治38年日露戦争時。ロシア人捕虜が東福寺全体に1500人。
この霊雲院にも同3月24日から11月19日まで収容されていたのだと云う。
集合写真は東福寺または知恩院の山門だろうか?大階段に座った多くのロシア人捕虜達、独特の兵服とピンと跳ね上げた髭の顔。それを遥かに下回る数の日本人監視兵の顔がただ最前列にある。
「塀の無い捕虜収容所かぁ、日本ってこんな時が…」
不思議な事にロシア青年たちの顔に暗い陰は無く、故国ロシアに帰る希望すら持っているかのように見える。先の凄惨な大戦に比べその頃の日本は捕虜の待遇や国際法の決まりを心得ていたからなのだろうか?
この写真からは何か明治と言う時代の気質と言うのか昭和のそれとは確実に違う空気が流れている。
良い面ばかりで無いことはその後の歴史が嫌でも証明する所だが、少なくとも明治と言う時代と人々が幾分でも大らかであった事を信じたい。
しかし、この何千倍もの日露の若者達が海に高地に散った事を忘れてはいけないだろう。
もう今はこの世に無い人々の生きた姿に今を力無く生きる私が勇気をもらう。
快活に、まっすぐ生きた死者たち。先人たちの生き様こそ時として一番の勇気となりえる。私もそんな先人となれるよに生き、何かを残して逝きたいものである。
また京都の名庭に歴史への思いと心休まる贅沢な時間がながれるのを見つける事が本当に嬉しい。
同院は幕末に月照さんと西郷さんの密議の場となった歴史もあるそうな。
東福寺方面に行かれるときは是非とも訪れ、この名庭を目にしてもらいたい。

それにしても写真でお伝えしたいぐらいの美しさ。1970年にこの庭を江戸末期の図から復活させたシゲモリなる人物とはいかなる才の持ち主か?

地点マップ(PC、携帯au、docomo)

場所名: 東福寺霊雲院
住所: 京都市東山区本町15丁目801
TEL :(075)561-4080
拝観料:300円(Admission)

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 【市バス】京都駅から乗り場D2の208系統「東福寺・九条車庫ゆき」に乗り「東福寺」下車徒歩5分
 【電車】:JR・京阪電車「東福寺」下車徒歩10分
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