■ 京都見る歩く(洛陽三十三所観音巡礼)Vol.30 満願。第三十三番札所「清和院」

満願。洛陽三十三所観音巡 第三十三番札所「清和院」を訪れる。



 京都駅前から、市バス50系統で西洞院(にしのとういん)、堀川、と北西を目指す。50系統は座れることが多いので良い。そしてバスは中立売を西へ入り、千本中立売のバス停で下車する。



 昭和の風情を残す賑やかな北野商店街を通って三角形の広場へ出た。昔、市中をチンチン電車(路面電車)が走っていた。(明治28年〜昭和36年)商店街の道をいっぱいに使い、満員の人々を乗せた、にこやかな喧騒が目に浮かぶようだ。余談になるが、明治28年ごろ既に市電を走らせた、日本初。これには琵琶湖疏水蹴上発電所からの電力が使われていたと思われる。当時この国の首相は伊藤博文、清国とのいくさの真っ最中と言えばどんな時代だったかピンときて頂けるだろうか。

 その広場の木陰に座り、ポケットの中の広辞苑で「清和」と引いてみた。「清和院」、「清和源氏」、「清和天皇」とずらりと並ぶ。これほど縁(えにし)の深いキーワードが並ぶのも希(まれ)ではないか。まさに、三つのワードが、清和院の縁起と風雅な由緒を物語っている。

時代と想像は清和院に関することへ飛ぶ。

 あの壇ノ浦(下関)で、平家を打ち滅ぼした源氏の棟梁、源頼朝も、牛若丸でお馴染み義経も、清和天皇(56第)の子孫である。清和天皇の第6皇子、貞純親王の子息が、経基(つねもと)と言い、彼以後が帝より「清和源氏」の氏(うじ)を賜り、名実共に貴族武人となった。

 元来、侍の姿とは、帝の血を引き、心から帝と都を守り奉る武人らが、あるいは、中世の戦国武将より、正しい姿だったのかも知れない。
 若き日の足利尊氏も、四条あたりで競馬(きそいうま)に興じながら「我こそは源氏の血を引く者なり」と自分を奮い立たせていたに違いない。




 さて清和院の話である。前述の清和天皇が皇位を次へ譲位し、余生を過ごしたのがこのお寺の名前の由来だとか。今は真言宗の小さなお寺だ。

「まずは聖観音さんにお参りや」と、本堂をのぞく。中央最奥には見上げるほど大きな厨子。扉は閉じられ、表に大きな菊のご紋。「あの中に居やはるのやな」。

左側を見ると、真言宗のお寺らしく、古くて見事な不動明王、八臂(はっぴ)の弁財天、毘沙門様に、大黒さん。黒光りとはこのことだ。おそらく、長いこと、いずこかの護摩堂に安置されていたと思われる。


右に目をやれば、小ぶりながらも、荘厳な阿弥陀三尊来迎も立像。

これがまた、今まで見たことが無い角度で前にせり出している。例えるなら、マイケルジャクソンのムーンウォーカーぐらいの前のめり。

両脇を固めるは、合掌をし、ほぼ中腰の観音と、バレーのレシーブのように盆をもっている勢至菩薩。

動かぬ仏像にして、こけそうな子供にさっと手を出そうとする母親の如き慈しみと勢いを感じる。 阿弥陀三尊は往々にして座像で、両脇の仏が膝を浮かせるなどして、救いやお迎えを表現するか、立像でも足を一歩前に出すにとどまるものが多い。

しかし、ここで観たものは、躍動感と優しさを湛えている。
あとは、気になるどこか不思議な木造の地蔵菩薩が厨子の前に一体。

まあ、仏像ほど眼で観て、感じるに勝るものは無い、ので筆者が感動したと言う事が伝わればうれしい。仏像ファン方にはぜひ観ていただきたい仏様ばかりだ。


ようやく最後の三十三番札所のご朱印を頂きに事務所へ。

寡黙そうなご住職に、「あのぉ阿弥陀様の角度は圧巻ですね」と言ってみる。眼鏡のフレーム越しに私を見て笑顔になられた。

「このお寺の仏さんにも、色々面白い謂れが有りましてねぇ」と、寺の由緒から、明治の廃仏毀釈までの壮大なストーリーをほぼ聞かせてもらった。

 ご住職曰く、「聖観音さんは、五尺五寸(154cmほど)やから、等身ですわな。今は九州の国立博物館に居はります。皆さんには堂内のお写真で観てもらってます。」と、朝日新聞の一面写真を見せていただく。

「あのお地蔵さんね、清和天皇に似せて造られてます、天皇さんやから、お外へ出て頂く事はなかなか無いので、錫杖はお持ちでない。」

なるほど、不思議な感じは錫杖かぁと思うのだが、まだあった。

「あとは、眼に玉眼が入ってますね、昔は極彩色やったんですね、まあ、真言宗に来はったんで、護摩焚きますやろ、きれいに黒光りしてますわ。そうそう、観音様の洗いも大変でしたなぁ」と、笑っておられた。

その後、清和院が元々、京都御所の北東にあり、蛤御門同様、「清和門」が今も残っている事、江戸末期の御所の火災で現在の北野、七本松一条へ移った事、観音様は一条鴨川西岸にり「川崎観音」と呼ばれていたが、これまた1531年の火災で清和院とのご縁が始まった、と、言うように、小一時間は話をお聞きしたが、それこそ京都の名所や歴史に及ぶので、割愛させていただく。が、とにかく楽しいお話だった。

 さて、ご住職に良くお礼を申し上げて、清和院を後にする。また北野商店街の三角形の人場で腰を下ろす。

 
そこには、出雲阿国、宮本武蔵、土蜘蛛(土雲)塚に関する案内板がある。心のこもった手書きの物だ。

これ、これ!これこそが町に文化的、歴史的いろどりを与え、いつしか人が来るかも知れない第一歩。私のように外から来た者でも、この様な案内板が有るだけで、「次は近くのお店で団子でも食べて、ここを起点に散策しようか。」などと、初めての土地にも知らず内、愛着のようなものを感じてしまう。

清和院のご住職しかり、この商店街にしかり、労力を惜しまず、口伝、文章で土地の歴史文化や良さを教えてくれる人をこそ!私は本当の「文化人」と呼ぶべきなのだと思う。

おこの北野界隈の話、またいつかの機会に。とても大切なことだから。

さて、さて、次は洛陽三十三所観音巡礼、満願の証明と先達の公認を頂にもう一度、六角堂へ行こうと思う。

場所名: 清和院(Seiwain)
参拝時間:9:00〜16:00(Open)
拝観料:無(Admission Free)
駐車場:無
電話:075-461-4896
住所:京都市上京区七本松通一条上る一観音町428-1

地点マップ(PC、携帯au、docomo)

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【市バス】京都駅乗リ場B2から50系統「北野天満宮経由  立命館大学前ゆき」に乗り「千本中立売」下車徒歩2〜3分
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コメント
もりちゃん?
元気に頑張ってるみたいやね〜?良かった?
先逹かぁ〜凄いね?

私は現在療養中〜?
脳梗塞の一歩?前?で見つかりました?

病室はクーラー効きまくりで快適?

じゃあね??
  • みぃちゃん
  • 2011/07/15 11:39 AM
自らの足で、目で、耳で得たものこそが本物のコンテンツとして価値がある。

なるほど、あなたの持論通りの素晴らしいブログですね。



  • かっちん
  • 2011/07/20 12:33 PM
「みいちゃん」さん。えらい事になりかけてたんですね。とにかくじっとご静養ください。動かない!
  • Morichan
  • 2011/07/20 1:17 PM
「かっちん」さん。いやはや、あなたのような方に読んで頂けると光栄です。
  • Morichan
  • 2011/07/20 1:20 PM
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